1、重力崩壊型超新星爆発への磁気回転効果などを調べるために、3次元磁気流体コードの開発を行った。 開発したコードの特徴としては計算時間向上のために計算領域を一様な格子で区切るのではなく、局所的に解像度を上げるAdaptive Mesh Refinementを採用している。コードの精度は自己重力、ニュートリノによる冷却効果などを考慮した実際の計算においてエネルギー誤差を0.2%以下に抑えることができた。この誤差は通常重力崩壊型超新星爆発の爆発計算において要求される精度1%を満たしている。 2、作成したコードを用いて15太陽質量星の重力崩壊の3次元計算を行った。先行研究は2例ほどしかなく、まずは先行研究との比較を行った。結果は同じ初期条件のもとで先行研究と定性的に同様な結果を得ることができた。その上で、2次元軸対称計算と今回の3次元計算の結果を比較した。これは、重力崩壊直後に形成された原子中性子星は様々な流体不安定性を保持しており、軸対称という仮定を外す事でそれらの不安定性が結果にどう影響を及ぼすかを調べるためである。結果は今回調べた初期条件のパラメーターの範囲では、2次元軸対称計算と定性的に同じ結果を得た。つまり磁場と回転を伴う親星が重力崩壊を起こすと、最終的には回転軸の方向に磁場によって収斂された高速のBipolar-Outflowが形成されるというものである。この高速のOutflowがその後親星を突き抜けて超新星爆発となると考えている。しかし定量的には非軸対称性が成長しているのをモード解析から確認しており、今後異なる初期条件を用いた計算により2次元軸対称計算と異なる結果が得られる可能性がある。 3、より大質量星の重力崩壊、ブラックホール形成を一連の数値計算で取り扱う為に一般相対論的磁気流体コードの開発を行い、各種のテスト計算を済ませた。
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