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本研究では、金属ナノ粒子が光化学反応を促進する反応場として機能することを示し、最終的に光による制御が可能な新しい反応場を創生することを目指して、フォトクロミックジアリールエテンポリマーと金属(金および銀)ナノ粒子との複合体を合成し、その光学特性の評価を行っている。
平成21年度は、まず金の部分の粒径が制御された複合体の合成方法を確立し、ジアリールエテンの光反応に伴って金属ナノ粒子の光学特性が粒径に依存して可逆的に変化することが明らかにした。この現象は金ナノ粒子の光学特性を光により制御できることを示しており、目的とする光による制御が可能な反応場へと応用することができると考えられる。
また、金属ナノ粒子周辺におけるジアリールエテンの光異性化反応を追跡した結果、粒子近傍において反応速度が増強(促進)されていることが示唆された。数値的なシミュレーションにより溶液中における反応を詳細に解析したところ、粒子表面から数ナノメートルの範囲においてジアリールエテンの反応が2～5倍程度増強されていることが明らかとなった。同様に、ジアリールエテンポリマーと銀ナノ粒子との複合体を新たに合成し解析を行った結果、粒子近傍において最大約12倍の反応の増強が観測された。これにより、金および銀ナノ粒子近傍における光反応の増強を実験的に明らかにし、その解析方法を確立することができた。
さらに、ジアリールエテンの構造と金属ナノ粒子による光反応の増強との関連性を調べるために、種々の構造のジアリールエテンを有するポリマーの合成に着手した。上記実験においては光により青色に着色するジアリールエテンを用いていたが、新たに赤色や黄色に着色する新規ポリマーの合成に成功した。平成22年度はこれらの新たに得られたポリマーと金属ナノ粒子との複合体を合成し、その光学特性および反応の増強を評価する予定である
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