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2009 年度 実績報告書

5d遷移金属酸化物におけるスピン軌道相互作用と電子相関の協奏物性の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 09J07391
研究機関東京大学

研究代表者

平井 大悟郎  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード5d遷移金属 / スピン軌道相互作用 / 超伝導 / ニクタイド
研究概要

本研究では、5d遷移金属を用いて新物質を合成することにより、5d電子系の物性を開拓することを目的としている。5d電子系はスピン軌道相互作用・電子相関・結晶場の複合物性が期待できる有望な舞台である。
1.新超伝導体BaIr2P2、BaRh2P2の発見
5d遷移金属リン化物に着目し物質合成を行った結果、2つの新超伝導体BaIr2P2、BaRh2P2を発見した。それぞれ超伝導転移温度(Tc)は2.1Kと1.0Kであり、BaIr2P2はThCr2Si2型構造を持つ5d遷移金属ニクタイドで初の超伝導質である。これまで反応性が低く物質のバリエーションが限られていたため、5d遷移金属は物性研究の対象として注目されてこなかった。しかし、これらの超伝導体の発見により、5d遷移金属が新規物性開拓の舞台として有望であることが示された。今後、5d遷移金属特有の強いスピン軌道相互作用が超伝導機構にどのようにかかわっているかなどに興味が持たれる。
2.新超伝導体SrIr2As2の発見と新物質EuIr2As2の合成に成功
リン化合物をもとにさらに物質合成を進めた結果、新超伝導体SrIr2As2と新物質EuIr2As2の合成に成功した。
SrIr2As2はリン系の化合物に比べて高いTc=2.9Kを持つ超伝導体である。一方でEuIr2As2はユーロピウムが磁気モーメントをもち反強磁性体となる。SrIr2As2の発見は、5d遷移金属特有の強いスピン軌道相互作用を有する系での超伝導という観点からだけではなく、近年発見された鉄系超伝導体の関連物質としても重要である。今回発見した新超伝導体は、代表的な鉄系超伝導体であるBaFe2As2と同じThCr2Si2型の結晶構造を持つ。同じ結晶構造を持ちながら、大きく転移温度の異なる超伝導を発現するSrIr2As2は鉄系超伝導体の特異性を検証するうえで重要な比較対象であると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] RuAsの量子臨界点における超伝導2010

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎
    • 学会等名
      日本物理学会2010年春季大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県)
    • 年月日
      2010-03-23
  • [学会発表] 鉄砒素系超伝導体類縁構造を持つATMBi2型化合物の物性2009

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎
    • 学会等名
      日本物理学会2009年秋季大会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本県)
    • 年月日
      2009-09-26
  • [学会発表] Superconductivity in 4d and 5d transition metal layered pnictides BaRh2P2, BaIr2P2 and SrIr2As22009

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎
    • 学会等名
      9th international conference on Materials and Mechaniems of Superconductivity
    • 発表場所
      京王プラザホテル新宿(東京都)
    • 年月日
      2009-09-09

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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