本研究のこれまでの結果から、ニューロンの成熟過程において、成熟に必要な複数の遺伝子の発現や神経突起の形成にクロマチンリモデリング因子Brahma(Brm)が重要な役割を果たすことが示されていた。また、ニューロンの成熟に伴って核全体でクロマチン状態が変化することを示唆した。 ニューロンを成熟させるには、長期培養をすることが必要である。しかし、当研究室ではニューロンの長期培養の系は確立されておらず、私はその系の確立を行った。その後、培養日数と核全体でのクロマチン状態について検討した。その結果、ニューロンの培養日数が長くなるに従って、つまりニューロンがより成熟するに従って、核全体でのクロマチン状態が変化することを示唆する結果を得た。今後、この変化を担うメカニズムの検討を行う予定である。 また、私はニューロンの成熟と関連すると考えられている神経活動にも着目し、その系の確立を行った。その後、神経活動と核全体でのクロマチン状態について検討した。その結果、神経活動の模倣により、核全体でのクロマチン状態が変化することを示唆する結果を得た。また、ヒストンのアセチル化が核全体でのクロマチン状態を制御する要因の一つである可能性を示唆する結果を得た。今後、別の要因も含め、核全体でのクロマチン状態を制御するメカニズムについてさらなる検討を進めていきたい。
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