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2009 年度 実績報告書

急速な進化と表現型可塑性の個体群動態・進化モデルと培養実験による検証

研究課題

研究課題/領域番号 09J07611
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

山道 真人  総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード迅速な進化 / 表現型可塑性 / 誘導防御 / 個体群動態 / 安定性 / 環境変動 / ワムシ / イカダモ
研究概要

生物は環境の変化に対応して、形質をさまざまに変化させる。これまでの進化生態学では、形質の変化の適応的な意義について研究が行われることが多かったが、形質の変化が個体数変動・群集動態に及ぼす影響まで調べられることは稀であった。近年になって形質の変化がもたらす生態学的影響に注目が集まっているが、形質の変化をもたらすメカニズムの違いを明示的に比較したものはなかった。そこで、集団中の遺伝子型頻度が変化する「迅速な進化」と、個体の表現型が可塑的に変化する「表現型可塑性」という2つのメカニズムを明示的に記述した数理モデルを用いて、その影響を比較した。
実験室で培養されるプランクトン群集のワムシ(捕食者)-イカダモ(被食者)系をもとにモデルを構築し、過去の実証研究に基づいてパラメータ設定を行った。イカダモは、捕食者の存在下で繁殖重視の「繁殖型」から防御重視の「防御型」に誘導防御を行うことが知られている。解析の結果、防御型の防御が有効である場合には可塑性の方がより系の振動を抑え安定化するが、防御がそれほど有効でない場合には可塑性が系を不安定化しうるということが明らかになった。
また、可塑性のある遺伝子型とない遺伝子型の競争モデルを構築し、より長期的な進化的安定性を調べた。すると、可塑性は定常環境で不利だが、変動環境では有利になることが示された。現在、以上の数理モデル解析の内容を投稿中であり、同時に理論的な予測を検証すべく、プランクトン群集の実験的な検証の準備も進めている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 始めよう!エコゲノミクス(4)集団内変異データが語る過去:解析手法と理論的背景(その2)2010

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 雑誌名

      日本生態学会誌 60巻

      ページ: 137-148

  • [雑誌論文] マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を用いたシミュレーションモデルのパラメータ推定:ベイジアンキャリブレーション入門2009

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 雑誌名

      日本生態学会誌 59巻

      ページ: 207-216

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 始めよう!エコゲノミクス(3)集団内変異データが語る過去:解析手法と理論的背景(その1)2009

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 雑誌名

      日本生態学会誌 59巻

      ページ: 339-349

  • [学会発表] 侵入タイミングが定着の成否を決める2010

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] The ecological and evolutionary stability of the plastic prey2010

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 学会等名
      東北大gCOE国際フォーラム「Ecosystem Management Applying to Ecosystem Adaptability Science 1」
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県)
    • 年月日
      2010-02-21
  • [学会発表] カタツムリの同型交配とヘビの左右非対称な捕食がもたらす進化動態2009

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 学会等名
      日本数理生物学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2009-09-10
  • [学会発表] The effects of rapid evolution and phenotypic plasticity on population dynamics in predator-prey systems2009

    • 著者名/発表者名
      山道真人
    • 学会等名
      Eawag(スイス連邦水圏科学技術研究所)Ph.D.Summer School 2009
    • 発表場所
      Eawag(Kastanienbaum, スイス連邦)
    • 年月日
      2009-07-11
  • [備考]

    • URL

      http://sites.google.com/site/mstyamamichi/

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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