研究課題
本年度行った事:フォルステライト(第一相:Fo)±エンスタタイト(第二相:En)の二相系においてEnの体積分率を系統的に変化させ、大気圧下における一軸圧縮変形実験を行い、粘性変化を検証した。背景と研究目的:Hiraga et al.(2010)においてフォルステライト(第一相:Fo)±エンスタタイト(第二相:En)の二相系における粒成長は、ゼナー則に従って系統的に変化することが説明された。ゼナー則は異相粒子同士がお互いの粒成長(粒界界面移動)を阻害する機構であり、二相系における粒径は第一相の粒径、第二相の粒径、第二相の体積分率の関数になることが知られている(Smith, 1948)。Hiraga et al.(2010)ではゼナー則を用いて、Enの体積分率に対応した粘性の変化を予想した。本研究ではHiraga et al.(2010)により予想された粘性変化を検証するために、大気圧下における一軸圧縮変形実験を行った。結果・考察:圧縮変形実験では均一な変形に成功し、精度の良い応力・歪速度曲線が得られた。微細構造観察においては、TEM及びFE-SEMを用いた。実験前の試料を前後の試料をTEM及びSEM観察した所ポアやクラック、メリトは見られなかった。また変形後における組織解析を行い第一相と第二相の粒径比および粒径分布を解析した。その解析から変形中の粒成長はゼナー則に従うことが分かった。またEnの体積分率に応じて粘性が下がることが分かり、これはゼナー則に従う粒径変化が原因であると考えられる。さらに歪とともに粘性が上がることが分かり、これは試験中の粒径変化が原因と考えられる。
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Physics and Chemistry of Minerals 電子ジャーナル
ページ: DOI : 10.1007/s00269-009-0350-y.
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/tasaka/tasaka/tasaka.html