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2009 年度 実績報告書

陸水貯留を適切に表現する陸面水文モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 09J07789
研究機関東京大学

研究代表者

山崎 大  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード全球河川流下モデル / 氾濫原 / 水面標高 / DEM / 衛星観測 / 背水効果 / アマゾン川 / メコン川
研究概要

陸域水循環は、1,気候システムの一要素として陸域に降った雨を海洋まで輸送する役割を負うだけでなく、2,持続的な人間活動に必要な循環する淡水資源の供給、3.河道・湖沼・湿地といった水域形成による生態系や生物多様性の保全、という複雑かつ重要な機能を有している。現在、世界の様々なところで河川の断流、湖沼や湿地の縮小、永久凍土の融解など、陸域水循環システムの変動が確認されている。さらに近年の衛星観測技術の進歩により、水面面積・氾濫原の水位変動・陸域貯水量といった陸域水循環の変動を、グローバルスケールで把握することが可能になりつつある。しかしながら、観測された水貯留形態の変動を物理過程に基づいて説明するグローバルな陸面水文モデルは未だに存在しない。
本研究では、近年利用可能になった超高解像度の水文地形データを活用して、グローバル規模で河川・湖沼・湿地・地下水層における水循環を物理過程に則って計算する陸面水文モデルの構築を目指す。本年度は、既存の河川モデルに、高解像度のデジタル標高モデル(DEM)の情報を客観的に導入する手法を確立し、氾濫原の浸水過程を全球スケールで表現することに成功した。これにより、これまでは現地で観測された河川流量とのみ比較が行われてきた全球河川モデルの検証に、衛星観測による浸水面積や水面標高を用いることが可能になった。また、水深の現実的な再現が可能になったため、水面勾配に基づく流下計算が全球スケールで初めて達成された。これによりアマゾン川における潮汐の背水効果再現や、メコン川流域トンレサップ湖における雨季の河川大逆流などを、物理的なメカニズムに基づいて再現することが可能となった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 全球超高解像度水文地形データを利用した河川氾濫原シミュレーション2010

    • 著者名/発表者名
      山崎大
    • 雑誌名

      土木学会水工学論文集 54

      ページ: 463-468

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Deriving a global river network map and its sub-grid topographic characteristics from a fine-resolution flow direction map2009

    • 著者名/発表者名
      Dai Yamazaki
    • 雑誌名

      Hydrology and Earth System Science 13

      ページ: L241-2251

    • 査読あり
  • [学会発表] Duffisive modeling of global river and floodplian dynamics using 1km-resolution DEM2009

    • 著者名/発表者名
      Dai Yamazaki
    • 学会等名
      American Geophysical Union, 2009 Fall Meeting
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      2009-12-16
  • [学会発表] Simulation of Floodplain Inundation Dynamics with a Hihg Resolution Global River Routing Model2009

    • 著者名/発表者名
      Dai Yamazaki
    • 学会等名
      6th International Scientific Confference on Global Energy and Water Cycle (GEWEX)
    • 発表場所
      Melbourne, Autsralia
    • 年月日
      2009-08-27
  • [学会発表] 超高解像度水文地形データを用いた全球河川流下モデルへの氾濫原浸水過程の導入2009

    • 著者名/発表者名
      山崎大
    • 学会等名
      水文・水資源学会2009研究発表会
    • 発表場所
      石川県金沢市
    • 年月日
      2009-08-19
  • [備考]

    • URL

      http://hydro.iis.u-tokyo.ac.jp/~yamadai/cv.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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