近年、ヘルパーT細胞サブセットであるTh17細胞の存在が明らかにされ、Th17細胞が産生するIL-17Aが関節リウマチなどの炎症性疾患における骨吸収に関与していることが報告されている。また、歯周炎病態形成においてもTh17細胞の関与が示唆されており、病変局所においてTh17細胞の分化や増殖を制御するサイトカインの存在も明らかにされている。一方、Adrenomedullin(AM)は、近年、抗炎症作用をもった内在性の免疫調節因子として作用することが報告されている。しかしながら、AMがTh17細胞の免疫応答にどのように関与しているのか未だ明らかにされていない。 Th17細胞は、IL。17Aを産生し、TGF-βとIL-6によってナイーブCD4^+T細胞から分化誘導され、IL-1βやIL-23がその増殖や生存に重要な役割を果たしている。また、Th17細胞の分化にはオーファン核内受容体であるROR-γtや転写因子であるSTAT3の活性化が重要であることが知られている。そこで、今年度は、AMがTh17細胞への分化に与える影響について解析を行った。 その結果、AMがTh17細胞から産生され細胞遊走や炎症を引き起こすIL-17Aの産生、ナイーブCD4陽性T細胞からTh17細胞への分化を制御している転写因子のRORγtの発現、およびTh17細胞の分化に必須とされるSTAT3のリン酸化をAMが抑えることを見いだした。 これらのことより、AMがTh17細胞の分化や機能を抑制するということを示しており、Th17細胞が歯周炎の骨吸収に関与していることが考えられていることからも、重要かつTh17細胞の制御という新しい発想の治療法に繋がる可能性が示唆された。
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