研究課題
本研究の目的は、不確かさを持つ汎関数微分方程式によって記述されるむだ時間非線形系に対して、安定性やゲイン特性解析のための理論枠を構築し、フィードバック制御系設計のためのツールを開発することである。当該年度では、あるクラスの非連続特性を持つ非線形むだ時間系に対して、汎関数微分包含のFilippov解の概念を提起し、その解の下で安定性判断条件を明らかにし、フィードバックによる安定化設計手法と、L2ゲイン抑制設計のための新しい理論方法を提案した。これらの理論研究結果は当初期待した通りの成果で、むだ時間特性と非連続特性を同時に有する非線形システムのための厳密な解析理論の枠組みを確立に向けて確実に一歩を踏み出したことは間違いない。また、提案した安定化設計手法をV6ガソリンエンジンの速度制御、冷間起動制御問題へ適用し、実験検証結果を与えた。これはアドバンストな制御理論の実システムへの応用の成功例として、興味深い成果と言える。以上の研究成果は国際学術誌に3篇の論文としてまとめて掲載し、国際会議でも口頭発表を二回行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
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