研究課題
エネルギー問題を解決への貢献も視野に入れて、【超伝導】と【熱電効果】について理論研究を行った。研究目的として【超伝導】[1]鉄系超伝導体に対し、超伝導発現機構を探ることで超伝導のさらなる理解を目指す。[2]旧来の問題である銅酸化物高温超伝導体の臨界温度の差異を探る。[3]未知の銅酸化物高温超伝導体に匹敵する物質の探求を目的とした。【熱電効果】金属的伝導性と高いいゼーベック係数を持ち合わせた熱電物質を作成するために、どのような指針を持つことが必要か研究を行った。これらの目的から、以下の内容をコンピュータによる数値計算で第一原理計算からのバンド構造を用いて実施した。【超伝導】[1]鉄系超伝導体の転移温度の起源と差異を乱雑位相近似、揺らぎ交換近似から超伝導性を調べた。(a)超伝導転移温度について鉄ヒ素結合角を横軸にとった場合正四面体近くでピークを取ることが実験でわかっていたが、それを理論的に確かめ、さらなる転移温度を目指す指針を与えることができた。(b)122系と呼ばれる物質群について、ホリゾンタルノードと呼ばれる超伝導状態が発現することや、ホールドープによって中性子散乱によって観測されるピークのずれを説明することができた。(c)21311系と呼ばれる物質について、d波超伝導の可能性を示した。[2]1層系銅酸化物高温超伝導体の臨界温度の差異がd_<x2-y2>軌道とd_<z2>軌道のエネルギー差から説明でき、その起源が結晶構造によって大きく左右されることがわかった。[3]超格子超伝導体LaAlO_3/LaNiO_3を圧力やドープなどで物性をコントロールすることにより銅酸化物高温超伝導体に匹敵する転移温度を持つ可能性があることがわかった。【熱電効果】CaMnO_3について、ゼーベック効果に対するバンド形状効果とハイスピン効果をボルツマン輸送理論による方法で検証を行った。その結果、ハイスピン常磁性が実現していることによって、e_g軌道に電子が入っていく効果で実際にゼーベック係数が大きくなることがわかった。
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Physical Review Letters
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