平成21年度は、減数分裂過程におけるSPB制御機構とそれに関わるhalfbridge因子の機能に注目して解析を行った。SPB複製に必須であるhalfbridge構造を構成する因子Cdc31/centrinの温度感受性変異株cdc31.ts10を減数分裂過程に誘導した結果、染色体分配や胞子形成に異常を示した。続いて、減数分裂過程のどの時期に異常を示しているのかを明らかにするために、減数第1分裂開始前、および第2分裂開始前に核分裂を停止することが知られている変異株との2重変異株を作製した。これら2重変異株の核分裂を観察した結果、cdc31.ts10株では減数第1分裂開始前のSPB制御機構に異常があることが示唆された。従ってhalfbridge因子は減数第1分裂開始前に何らかの重要な機能を果たしていることが示唆される。 減数第1分裂開始時のSPB複製の有無や、その制御機構はほとんど明らかになっていないため、始めにSPB因子の局在を野生株において詳細に観察した。その結果、減数分裂誘導後から第1分裂開始にかけて多くのSPB因子がダイナミックに入れ替わっているのに対してhalfbridge因子Cdc31およびSfi1は常に一定してSPBに局在することが明らかになった。特に興味深いことに体細胞分裂期にはSpindle形成や生育に必須で、細胞周期を通じて常にSPBに局在するいくつかの因子が、減数分裂誘導時のみSPBから完全に消失し、第1分裂開始直前にSPBに再局在することが分かった。これに対しcdc31.ts10株では、減数分裂誘導後に消失したいくつかのSPB因子が、減数分裂開始前にSPBに再蓄積出来ないという異常が見られた。従って、halfbridgeタンパク質は減数第1分裂開始前のSPB再構築の際に足場としての機能があるのではないかと考えている。
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