研究概要 |
本研究は地球表層システムの進化と変動を解明するため,顕生代最大規模の絶滅事変であるペルム紀末大量絶滅およびその回復過程における表層環境と生態系のシステムダイナミクスを解明することを目的としている.これまで下部-中部三畳系遠洋性層状チャートの完全連続岩相層序を確立し,その堆積リズムがミランコビッチサイクル起源であることを初めて認定した(Earth and Planetary Science Lettersに投稿中).さらに360万年の長周期ミランコビッチサイクルが放散虫多様性や絶滅の直接要因である海洋無酸素事変の駆動力となった可能性を指摘した.そして,それらのメカニズムとしてモンスーンがミランコビッチサイクルを増幅させたとするメガモンスーン仮説を提唱している. そこで,平成21年度は美濃帯犬山地域中部三畳系層状チャートの完全連続岩石採集を行い,XRFなどによる化学分析によって,メガモンスーン仮説を検証している.また層状チャートの完全連続岩相層序をジュラ系までのばし,さらなるメガモンスーン仮説の検証として,北米Newark盆地三畳系-ジュラ系陸成層と長周期ミランコビッチサイクルによる層序対比を試みた. これらの成果をAmerican Geophysical Unionなど国内外の学会で発表し,投稿準備中である.また,The 12th Meeting of the Internatioanl Association of Radiolarian Paleontologists the Micropalaeontological Societyにおいて,ミランコビッチサイクルと放散虫化石多様性の関連性に関して発表し,The Best Student Poster Awardを受賞した.
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