研究概要 |
1.理論モデルによる解析 本研究で対象としている,量子構造によるキャリアの熱緩和過程制御を行うトンネル注入量子井戸レーザデバイスに関して,これまでの研究で構築してきた理論モデルを発展させ,量子構造変化に伴なうキャリアの緩和特性やレーザデバイスの変調動作特性などの変化を詳細に検討した.これにより,提案構造の組成,膜厚などの構造の最適化への指針を得ることが出来,また,ガリウム窒素ヒ素など異なる材料を用いた新規構造(同等の動作を行うような異なる量子構造)の提案などの成果を導いた.この際,計算機や外部記憶装置などを必要とした. 2.MBE法による結晶成長条件の探索・提案構造のレーザデバイス作製 提案構造の組成,膜厚において良好な結晶を得るため,分子線エピタキシー法を用いて結晶の成長及び評価を行うことによって,本装置における良好な基本的結晶成長条件の導出,また,トンネル注入量子井戸構造の成長に適した各種条件を導出した.結晶性の評価はPL,X線回折などにより行った.また,得られた結晶を用いてブロードエリアレーザを制作し,トンネル注入量子井戸レーザデバイスの室温下パルス発振を実現した.従来構造のレーザも含め,本年度導出した条件を用いて,以前の結果よりしきい値特性などを向上させることに成功し,室温CW発振,ひいては高速変調動作実験への先鞭をつけることができた.
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