臨界期の脳におけるエピジェネティクス変化を特にヒストンアセチル化に注目して調査を行った。エストロゲン受容体α(ERα)遺伝子やアロマターゼ(Arom)遺伝子のプロモーター領域のアセチル化の修飾度を、免疫クロマチン沈降法により、雌雄間で比較検討を行った。 ヒストン4のアセチル化について一. ERα Ibプロモーターでは胎生21日目(E21)雄において雌より高アセチル化状態にあったが、生後3日目(P3)では逆転した。AromIIプロモーターではE21において雌雄差はなかったが、P3において雄は雌より低アセチル化状態にあった。 ヒストン3のアセチル化について一 Arom IfプロモーターではE21雄において高アセチル化状態にあったが、P3では雌より低アセチル化状態に変化した。 性差構築に関連すると考えられる対象遺伝子それぞれのプロモーターについて、臨界期における雄のヒストン3、4のアセチル化状態が雌よりも概して修飾度が低く、実際にエピジェネティックな変化に性差のあることを分子レベルで解明した。このアセチル化状態の変化が、成体における雄性行動の引き金となるのかを個体レベルで引き続き検証する。
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