研究概要 |
1.本研究の対象となる保護者・地域住民参加型学校経営の機能評価をするための基礎作業として,1年目に引き続き英米における学校-保護者関係論に関する実証研究を収集した。特に,英国の学校理事会に関する社会学的な研究が与える示唆の大きさを踏まえ,先駆的な論者のマッピングとレビューをした。日本の保護者・地域住民参加型学校経営の動態を把握するためには,各学校に設置されている学校ガバナンス機関内部の権力関係を,委員の社会的背景やガバナンス機関の構成との関係において把握するという視座を援用していくことが必要であるとした。/2.次に,日本の学校ガバナンス機関,具体的には学校運営協議会内部の社会的構成と権力関係について把握するために,以下2つの作業を行った。(1)学校運営協議会委員を対象とするアンケート調査の分析。その結果,委員の個人的特性としては高学歴・高所得・男性・中高年が多く,保護者より地域住民が多いことが分かり,代表性において問題があることを示した。また,学校運営協議会における活動特性は,上記の個人的特性に応じて活性/非活性の分枝が存在していることも見出した。(2)1年目から行っているフィールドワークを継続するほか,新たに1校のケースを追加して,マルチサイト・ケース・スタディを行った。(1)で示したような社会的背景による活動特性の差異のうち,「地域住民と比較したときの保護者の劣位性」,「男性と比較したときの女性の劣位性」の2つについて集中的に検討した。/3.保護者・地域住民参加型学校経営について,学校運営協議会以外の形式で行われている実践について,アクションリサーチ的に関わる機会を得,学校評議員会の「アドバイザー」として参加した。
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