研究概要 |
加熱された固体表面に誘起されるエバネッセント波を光として検出することを目的とし研究が進められた.計測には真空容器内部に設置された近接場走査型顕微鏡が用いられた.試料はセラミックヒータを用い電気加熱された.計測は試料の温度変動に対し非常に敏感である.したがって試料の熱容量を大きくすることによって温度変動を抑制した.近接場走査型顕微鏡の制御が高温試料に対しても適切に行われるかを確認するため,いくつかの試料温度においてトポ像計測が行われた.試料温度が700K程度の場合,室温での計測と同程度に明瞭なトポ像が得られた.一方,試料温度が900K,1000Kと上昇するにつれ,試料およびプローブの温度変動によりトポ像は不明瞭になっていった. 本研究では,表面に微細構造を施すことによりエバネッセント波の波長制御を試みるための評価手法として計測を行っており,計測位置(表面形状)と検出される光信号の同期をとる必要がある.そのためトポ像計測が比較的容易な大きい構造部と微細構造部,さらに参照用の非構造部を同時に有する試料を製作し,トポ像の計測が行われた.900K以上の試料温度では,やはりトポ像が明瞭ではないものの,比較的トポ像の計測が容易な領域から構造部や非構造部の推定が可能であった.また,試料温度1000Kのとき光検出を試みたが,未だ検出できていない.今後試料温度をさらに上昇させ,エバネッセント波に由来する光信号の検出を行う.
|