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2010 年度 実績報告書

国学の情念的人間観・世界観の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09J09588
研究機関東京大学

研究代表者

板東 洋介  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード国学 / 日本儒教 / 情念 / 荻生徂徠 / 詩経 / 物の哀れ / 技術
研究概要

当該年度の主要テーマであった儒教における情念研究は、論文「近世儒者の『詩経』観-国学の国-歌観との対照のための予備的考察-」にまとめられた。これは本研究全体の主題である国学の情念論を定式化するための準備作業として、国学の思想的出発点となった近世儒教における情念とその表現との捉え方を明らかにしたものである。儒教上の情念についての議論は『詩経』についての議論として展開されるのが伝統であるため、本論文は儒者たちの『詩経』観を通覧するという体裁をとった。儒者たちの情念把握が、時代を経るにしたがって、いわゆる朱子学的思想体系の崩壊に伴って徐々にリゴリズム的性格を脱し、「人情」の複雑多様をそれと認めるようになってゆきながらも、やはり情念およびその表現としての詩を国家・社会との相関物として捉える捉え方を堅持していたために、「真心」とか「もののあはれを知る心」とかという、国学のより私的かつより過剰な情念の捉え方を、それへの批判として準備するに至ったという思想史上の事態が明らかにすることができた。本論は儒教自体ではなく、国学を焦点として儒教を論じた論文であるため、従来の日本近世儒教研究になかった新しい視角を提出でき、専門の儒教研究者から高い評価を受けた。また、以上の儒教研究の過程で、日本近世儒教思想史上最大の思想家である荻生徂徠の思想について、情念とその表現形式に注目する本研究特有の視点から、論文「技術の思想としての徂徠学」をまとめた。この論文も、国学という儒教外部の視点からする儒教論であるため、戦後の研究の蓄積による飽和状態にある荻生徂徠論に対し、清新な視角を提出することができた。総じて、以上の二本の論文を中心業績とする当該年度の研究においては、国学研究の前提として儒教研究が遂行されたが、その成果は日本近世儒教研究に対する新しい視角を提供し得たものと総括しうる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 近世儒者の『詩経』観-国学の国・歌観との対照のための予備的考察-2011

    • 著者名/発表者名
      板東洋介
    • 雑誌名

      思想史研究

      巻: 13号 ページ: 17-38

  • [雑誌論文] 技術の思想としての徂徠学2011

    • 著者名/発表者名
      板東洋介
    • 雑誌名

      倫理学紀要

      巻: 18輯 ページ: 156-180

    • 査読あり
  • [学会発表] 情念と形式-謡曲『砧』を手がかりとして-2010

    • 著者名/発表者名
      板東洋介
    • 学会等名
      日本倫理学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(三田)
    • 年月日
      2010-10-09

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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