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2009 年度 実績報告書

サーンキヤ二元論思想における認識論と解脱論の融合―『論理の灯火』解読を踏まえて

研究課題

研究課題/領域番号 09J09635
研究機関東京大学

研究代表者

近藤 隼人  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードインド哲学 / Yuktidipika / Yogasutrabhasya / Sastitantra / サーンキヤ / Samkhya / ユクティディーピカー / 知覚
研究概要

本年度は、『サーンキヤ頒』(Samkhyakarika, SK)に対する注釈書『論理の灯火』(Yuktidipika, YD)における認識論を解明する一過程として知覚の問題に焦点を当て、現在散逸したサーンキヤ文献『六十科論』(Sastitantra, ST)や姉妹学派であるヨーガ学派の文献『ヨーガ経注解』(Yogasutrabhasya, YSBh)における知覚論との比較を通じてYDにおける知覚論の特質を浮き彫りにした。YDは、思考器官(manas)による精神性の付与や感覚器官による外界対象への変容、認識手段としての統覚(buddhi)と認識結果としての精神原理(purusa)の区分など他のサーンキヤ文献には見られない特徴的な知覚論を展開しており、その点においてYDはYSBhやSTと共通している点が明らかになった。特に、STは近年発見されたばかりのサンスクリット写本を用いた『認識手段集成細疏』(Pramanasamuccayatika)の校訂テキストに見られる断片を使用したため、サンスクリットテキストを中心としたSTの研究は国内外においても初めてであり意義深いものとなった。STは知覚に関してSKと見解を異にしているにもかかわらずYDとの共通点が見られるという点は非常に重要であり、これら三者の解読を通じて、YDの知覚論およびその特異性、そして三者を結ぶ思想史的連絡がよりいっそう明確になり、その成果は2本の論文に発表することができた。当初はこの正しい認識に加えて誤知の問題に関しても研究を進める予定であったが、この知覚論の研究はサーンキヤ思想史におけるYDの位置づけを知る上でも重要な一基盤となりうると考えられる。また、研究交流として14th World Sanskrit Conferenceに参加し、国内外の研究者の発表を通じて様々な知見を広げることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A Comparative Study of the Characteristics of Perception Theories in the YuktidIpikA and the yogasutrabhasya2010

    • 著者名/発表者名
      Kondo Hayato
    • 雑誌名

      Journal of Indian and Buddhist Studies 58-3

      ページ: 1134-1138

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pramanasamuccayatika第1章に見るSastitantra注釈書の知覚論-Yuktidi pikaとの関連を中心に-2010

    • 著者名/発表者名
      近藤隼人
    • 雑誌名

      インド哲学仏教学研究 17(掲載決定)

    • 査読あり
  • [学会発表] Yuktidipikaにおける知覚論の特質-Yogasutrabhasyaとの比較を通じて-2009

    • 著者名/発表者名
      近藤隼人
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
    • 発表場所
      大谷大学
    • 年月日
      2009-09-08

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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