研究課題
平成22年度は、研究課題として提案する導電性ナノファイバーの有機量子デバイスへの展開に関する基礎的な検討として「エレクトロスピニング(ES)法で作製した共役系高分子ナノファイバーの物性評価」に関する研究を行った。共役系高分子ナノファイバーは極小の高性能有機電子デバイス基材として注目を集めている。この性能には高分子鎖の凝集状態が大きく影響する。この凝集状態の評価には発光スペクトルが用いられる。ES法で作製された共役系高分子ナノファイバーの発光スペクトルの大部分は、多数のファイバーを測定対象としている。我々は精密に本数制御したナノファイバーの発光スペクトルを測定し、ファイバー間での発光の自己吸収が発光スペクトルに支配的な影響を及ぼすことを明らかにした。この結果から共役系高分子鎖の内在状態の正確な評価には、ファイバー1本の発光スペクトルが必須であることを明らかにした。本成果は我々が世界に先駆けて明らかにした。この研究成果を踏まえて、共役系高分子ナノファイバー1本の発光スペクトルを延伸倍率を変化させて測定した。この結果共役系高分子鎖がナノファイバー化および延伸に伴い高度に分散化することが明らかになった。研究成果は我々が世界に先駆けて明らかにした。加えて「ナノファイバー蒸着マスクを用いたサブミクロンギャップ電極の作製と有機トランジスタへの応用に関する研究」を遂行した。ES法で作製したナノファイバー1本を蒸着マスクとして用いることにより、極狭ギャップ(約360nm)で分断された電極を作製した。さらにこの作製したギャップ電極に有機半導体を蒸着しトランジスタを作製したところ、低電圧駆動の有機トランジスタを実現した。本成果は我々が世界に先駆げて考案および実証した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)
Nanotechnology
巻: 22 ページ: 205202(6 pages)