本研究は、将来の核融合発電炉のための「RFP」というタイプのドーナツ形状のプラズマを対象としている。RFPプラズマのアスペクト比(大円半径/小円半径)を小さくすると、プラズマ中を自発的に流れる電流(自発電流)が増加し、それによりプラズマを高効率(低い入力エネルギー)で閉じ込められることが理論的に示唆されている。本研究の目的は、低アスペクト比RFPプラズマ装置「RELAX」において自発電流値を実験的に評価し、また、自発電流の高いプラズマを作り出すことである。当該年度の研究実績を以下に示す。 1.自発電流の理論や実験的測定法に関するいくつかの文献を読み、それらに対する理解を深めた。 2.多チャンネルのアナログ/デジタルコンバータ「AURORA14」を、CAMACのコントローラ「CC-USB」により複数台同時に制御し、多くの信号を自動で取得するプログラムを開発した。これにより、「RELAX」装置に新たに設置した、プラズマ端の磁場を測定する多数の磁気プローブや、プラズマからの軟X線を測定する多数のフォトダイオード等の、多くの測定器からの計100チャンネル以上の信号を全て同時に取得することができるようになった。これにより実験が効率化し、また、生成する毎に変化するRFPプラズマの特性をより正確に把握できるようになり、精度の良い自発電流測定のための準備の一つを整えることができた。 3.プラズマを生成・制御するための磁場は、プラズマの外にあるコイル(導線)群に電流を流すことで発生させているが、このコイル電流を決める放電回路系のパラメータ(コンデンサ容量・電圧等)などを種々に変更することにより、プラズマの持続時間や軟X線放射強度(プラズマの温度・密度に関連)等がなるべく大きくなるような放電条件を実験的に探した。これは自発電流の高いプラズマを生成するための準備として重要である。
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