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2009 年度 実績報告書

「碑文習慣」の衰退に見るローマ社会の変容

研究課題

研究課題/領域番号 09J10037
研究機関東京大学

研究代表者

大清水 裕  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)

キーワード碑文習慣 / 「3世紀の危機」 / ローマ帝国 / 都市 / 北アフリカ / イタリア
研究概要

本年度は、研究計画に従い、北アフリカの諸遺跡の研究に取り組んだ。
その主たるテーマは、3世紀の北アフリカ諸都市が求め碑文に刻んだ「自由libertas」の意味である。まずは、この問題に関する先行研究をまとめたうえで史料を精査した。先行研究では、その「自由」が免除特権という内実を伴うものだったのか、あるいは単なる名誉称号にすぎないのか、議論が分かれている。私自身は前者の立場に立って研究を進めており、11月15日に立教大学で開催された2009年度西洋史研究会大会の場において、「『危機』の時代の北アフリカ」という題目で報告を行った。この報告は「3世紀の『危機』再考」という共通論題報告の一環であり、南川高志(京都大学)・阪本浩(青山学院大学)両教授の司会で進められたシンポジウムは、本研究を進める上で非常に有意義なものだった。
なお、これに先立ち、8月下旬から9月上旬にかけチュニジアとイタリアへの調査旅行を行った。チュニジアでは受け入れ研究者である本村凌二教授(東京大学)や坂口明教授(日本大学)をはじめとする一行とドゥッガやブッラ・レジアなどの遺跡をまわり、ラテン碑文の実物を現地で調査する機会に恵まれた。碑文の置かれた場や刻まれた石や文字の状態から「碑文習慣」の衰退を考えようとする本研究においては極めて重要な調査であり、その成果は上記の報告に活かされている。
9月下旬には渡仏し、パリの国立科学研究センター・『碑文学年報』部門で研究に従事している。フランスでの受け入れ研究者であるM.Corbier教授をはじめ、J.-M.Carrie(社会科学高等研究院)、Y.Le Bohec(パリ第4=ソルボンヌ大学)、X.Dupuis(パリ第10=ナンテール大学)といった研究者のゼミに出席し意見交換を行っている。2010年2月3日には、パリの西洋古代史研究の拠点の一つであるCentre Gernet Glotzで研究発表の機会を与えられ、《La reforme administrative de Diocletien et les cites africaines》という題目で報告を行い、本研究の意義を確認することもできた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ヒスペッルム勅答碑文をめぐる諸問題-コンスタンティヌス帝治世イタリアの州会議と都市参事会員たち-2009

    • 著者名/発表者名
      大清水裕
    • 雑誌名

      西洋史研究 新輯38

      ページ: 1-26

    • 査読あり
  • [学会発表] La reforme administrative de Diocletien et les cites africaines2010

    • 著者名/発表者名
      OSHIMIZU Yutaka
    • 学会等名
      4e seminaire des doctorants des centres Gernet, Glotz et de 1'e quipe Pheacie
    • 発表場所
      Institut nationa d'histoire de l'ar フランス
    • 年月日
      2010-02-03
  • [学会発表] 『危機』の時代の北アフリカ-ガリエヌス帝治世のトゥッガ市を中心に-2009

    • 著者名/発表者名
      大清水裕
    • 学会等名
      2009年度西洋史研究会大会
    • 発表場所
      立教大学池袋キャンパス
    • 年月日
      2009-11-15
  • [備考]

    • URL

      http://inscriptionslatines.blog108.fc2.com/

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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