本年度から、Fermi衛星のcollaboration memberとしてFermiチームに加入し、LAT検出器のデータ解析を行った。2009年12月に発生したブレーザー3C 454.3からの非常に大きなアウトバーストをすぐさま検出し、Astronomers Telegramを通じて全世界に通報した(Atel #2328)。現在データ解析と論文執筆を行っている。 また、パルサーにおける粒子加速機構を解明することを目的として、2009年10月にすばる望遠鏡搭載FOCAS検出器を用いて超強磁場中性子星4U 0142+61の可視偏光観測を行い、良好な観測データを得ることができた。現在データ解析を行っており、今年度中に論文として発表する予定である。さらに、2008年度にすばる望遠鏡を用いて行った電波バースト天体RRAT J1819-1458の解析も行った。赤外対応天体を発見することはできなかったが、その上限値を日本天文学会で発表した。 さらに、地球電離層を用いた高エネルギー天体からのガンマ線観測も行っている。地球電離層はVLF電波(Very Low Frequency : 3-30kHz)によって常時モニターされている。この手法は、いわば地球電離層を検出器とみなして、天体からのガンマ線を検出する新しい手法であり、例えば衛星観測における地没のような観測の中断がないことが特徴である。我々は、南アメリカで得られたVLFデータの中から、マグネターからのバーストによる振幅と位相の変動を初めて検出した。これはVLF観測法の有効さを示すものであり、この結果は、2010年3月のVLF国際会議"Very Low Frequency radio waves : Theory and Observations"において発表(invited lecture talk)を行ってきて、現在論文を書いている。
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