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2010 年度 実績報告書

海水中における黄砂粒子の鉄成分の溶解性

研究課題

研究課題/領域番号 09J10105
研究機関熊本県立大学

研究代表者

緒方 裕子  熊本県立大学, 環境共生学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード黄砂粒子 / 個別粒子分析 / SEM-EDX / 鉄 / 水透析 / 海水透析
研究概要

黄砂粒子に含まれる鉄成分の海水への溶解性について検討を行った。これまでの研究により、水透析法によって黄砂粒子中のFeが溶解する粒子の存在が確認された。そこで、実際に海水へ沈着した場合の溶解性を調べるために、人工海水を用いて個別粒子におけるFeの溶解性を調べた。純水への溶解性と比較するため、同一黄砂イベント時に採取した黄砂粒子を用いて、海水透析、水透析における溶解性を比較した。走査電子顕微鏡とEDX(エネルギー分散型X線)分析器を用いて個別粒子分析を行い、海水透析法と水透析法を用いて溶解性成分を除去し、透析前後の相対重量比を比較した。その結果、海水、純水の両方において、透析前後でFeの溶解性はほとんど確認されなかった。水透析においてFeの溶解性が確認された粒子と比較した結果、透析前の黄砂粒子の組成が異なっていた。これらの結果から、黄砂粒子に含まれるFeの溶解性について、黄砂イベントごとに異なっている事が示された。Fe溶解性の変化は、(1)長距離輸送過程における硫黄化合物質との混合、(2)黄砂粒子の鉱物組成、(3)黄砂粒子の粒径、(4)黄砂粒子の濃度、などにより異なると考えられる。また、Ca,Mgの溶解性が海水と純水で異なっていた。特にCaは水にほとんど溶解したが、海水には溶解しないものが見られた。海水透析後に含まれていたCaは非水溶性であったことから、これらの相違は海水透析による変化であるといえる。従って、海水透析により黄砂粒子中のCa及びMgにおいて、溶解性が変化することが示唆された。Feについては海水及び純粋の両方でほとんど溶解しなかったことから、今後さらに様々なケースで採取された粒子の溶解性を調べる必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Comparison of elemental composition of Asian dust particles at Amami and Amakusa during a dust event.2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Ogata, Daizhou Zhang, Maromu Yamada, Yutaka Tobo
    • 雑誌名

      大気環境学会誌

      巻: 46巻 ページ: 10-19

    • 査読あり
  • [学会発表] A case study of soluble components in individual Asian dust particles analyzed with seawater and water dialysis.2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Ogata, Maromu Yamada, Daizhou Zhang
    • 学会等名
      Joint 5^<th> Workshop on Asian Dust and Ocean Eco System (ADOES) with Asian SOLAS/WESTPAC/METMOP/SALSA
    • 発表場所
      ホテルJALシティ長崎(長崎県)
    • 年月日
      2010-11-29
  • [学会発表] Soluble component in individual Asian dust particles collected in south western Japan with seawater dialysis.2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Ogata, Maromu Yamadam, Daizhou Zhang
    • 学会等名
      European Geosciences Union General Assembly 2010
    • 発表場所
      ウィーン (オーストリア)
    • 年月日
      2010-05-07

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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