研究課題
平成21年度は、ヴァイマル期及びナチス期ドイツの民間防空政策についての研究を進めるための基礎文献と資料を収集し、それをまとめる作業を行った。特に、ドイツ国内の文書館での調査は大きな成果を上げた。防空組織の活動による都市改造の資料(ベルリン、シュトゥットガルトで発見)は、民間防空を通じて空襲という新鮮そうテクノロジーが、社会を物理的に変化させていったことを実証できる内容であった。また、防空訓練に関する資料(ケルン、ブレーメン、ツェレ、ハレで発見)は、防空活動が民間人を動員して、どのように実施されたのかを示す貴重な資料であり、訓練の報告資料では民間防空従事者の積極的参加と消極的サボタージュなどを示す事例が確認でき、当時の戦争と社会の関係に関する研究が大きく進めることができた。これらの研究成果は年度末に研究論文としてまとめ、提出した(現時点では採用は未決定)。平成21年度の研究成果としては、上述の研究の基礎となる戦間期の空襲イメージと民間防空宣伝に関する査読論文が研究誌に掲載された。また、空襲研究を戦後に展開したものとしての空襲展示に関する論文、そして、ドイツの事例と日本の事例の比較へと視野を広げるためにドイツ・日本学会にて日本の国防婦人会について発表し、公刊されている。以上の研究活動を通じてドイツの空襲研究者とも交流できたことも意義深い。これらの活動は、日本・ドイツ両国の空襲研究を発展させることに寄与するものであり、軍事史・社会史研究の成果として大きな意義をもつと考える。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Formenwandel der Burgergesellschaft-Arbeitspapiere des Internationalen Graduiertenkollegs Halle Tokyo
ページ: 45-50
ヨーロツパ研究 8
ページ: 44-61
「無差別爆撃」の転回点 ドイツ・日本都市空襲の位置づけを問う
ページ: 43-54