研究概要 |
本研究の目的は音楽のメロディーや和声のような「楽曲中に複雑に遷移する特徴」とヒトの音楽聴取時の認知メカニズムとの特異性を解明することである.「音楽聴取時特有の脳活動を起こす要因は音楽特有の構造的特徴による」という仮説を立て、これには楽曲全体にわたる特徴を定量的に評価する.そしてその定量的な評価を基にした認知実験によって認知過程の解明を行う.今年度は構造的特徴についての考察を行うべく音楽構造を捉えるモデルに関する研究として,演奏表情生成モデルに関する研究を行った.提案モデルはガウシアンプロセスを用い,それぞれの音が持つ音の高さや長さ,前後の音との関係などの楽譜情報とテンポや強弱などの表情を出力とた場合の入出力関係を学習するモデルである.特にテンポ変動においては音の長さや高さといった基本的な情報に加え,拍節による周期性の特徴や前後変動の相関を考慮したところより推定精度が向上し,それらの要素が音楽の構成上重要であったことが数理モデルから実証することができた.
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