研究概要 |
平成21年度は以下の2つの研究を行う予定であった。研究1つは,ストレスマネジメント行動(ストレスをコントロールするための健康活動を1日20分間行うこと)の変容ステージとコーピングの自覚との関連性を横断的に検討する調査である。研究2つは,ストレスマネジメント行動の変容ステージと実験的に負荷されるメンタルストレステストに対する心理生物学的ストレス反応との関連性を検討する実験である。いずれも自己報告されたストレスマネジメント行動の変容ステージが実際のストレスマネジメント行動と対応しているのかを明らかにすることを意図している。 ストレスマネジメント行動の変容ステージが実際のストレスマネジメント行動と対応していれば,ストレスマネジメント行動を実施している実行期および維持期に属する個人のコーピングの自覚はそうでない者と比較してより高いことが予想される。横断的調査の結果,実行期と維持期に属する大学生は,そうでない者と比較して,コーピングの自覚がより高かった。この知見は,自己報告されたストレスマネジメント行動の変容ステージが実際のストレスマネジメント行動と対応していることを支持している。 また,ストレスマネジメント行動を実施している実行期および維持期に属する個人は,実験的に負荷されたストレス課題に対するストレス反応がより低いことが予想された。この仮説を検討するために,ストループ課題をメンタルストレスとして負荷する実験を行う予定であった。2010年3月末の時点では,ストループ課題がストレス課題として有効であるかを確かめる予備実験まで終了している。大学生10名を対象として,ストループ課題を9分間負荷したところ,ストレスに敏感に反応し上昇するとされる唾液中のMHPG濃度が有意に上昇した。このことから,ストループ課題がストレス課題として有効であることを示す知見が得られ,研究2を行うための実験課題が確立された。
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