研究課題
本研究では当初の予定通り、超大規模・高分解能宇宙論的N体シミュレーションを用いて、銀河スケールハローにおけるサブハローの分布を調べた。モデルはLCDMモデルを用い、46.48Mpc立方の領域を40億個のダークマター粒子で表現した。この規模の領域では我々のシミュレーションの分解能は、我々の知る限り世界最高である。シミュレーションには我々が独自に開発した超並列宇宙論的N体シミュレーション用コード、"GreeM"を用いた。計算には国立天文台のCray-XT4の2048CPUコアを用い、およそ280時間を費やした。そしてz=0のスナップショットから全ての銀河スケールのハローを68個、巨大銀河スケールのハロー57個を無バイアスに取り出し、その中のサブハロー分布を調べた。その結果、サブハローの個数はハロー毎に大きく異なることがわかった。一番多いハローに対して10分の1程度しかサブハローを持たないハローも存在する。サブハローが少ないハローは中心集中度が高く、形成が早いといった特徴がある。これはハローの形成史がサブハローの数と関係しているためと考えられる。また質量の小さいハローほどサブハローの数の分布の分散が大きく、局所銀河群と比較して2倍程度しか多くないハローも存在した。つまり、局所銀河群の衛星銀河の数とシミュレーションでのサブハローの数は、従来言われていた数十倍ではなく、せいぜい2倍程度と考えられる。残る2倍程度の差については、バリオンによる物理過程が一定の役割を果たしている可能性がある。またこの研究成果をアストロフィジカルジャーナル誌で発表した。
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Astrophysical Journal 696
ページ: 2115-2125
Publications of the Astronomical Society of Japan 61
ページ: 1319-1330
IEEE computer (印刷中)