研究概要 |
2色覚など,正常色覚でない色覚特性をもつ人は,特定の色の違いを弁別しにくいという事情を抱えている.例えば,インターネット上のホームページでは様々な色を使って情報が表現されているが,2色覚者には色の違いにより表現された情報がうまく伝わらない場合がある.本研究では「色覚バリアフリー」の実現を目的とする.具体的には,画像中の色を適切に再配色することで2色覚者にも見やすい画像を作成するアルゴリズムの開発をめざす. 当該年度では,2色覚者の中でも多くを占める1型2色覚(P型色覚)及び2型2色覚(D型色覚)を対象とした色変換アルゴリズムを開発した.提案アルゴリズムでは,P型またはD型色覚において弁別が困難である色を選択的に修正することで,2色覚におけるコントラストを高める.しかし,例えば赤色を青色にするような修正を施した場合,正常色覚においても2色覚においても色の印象は激変し,奇妙な印象の画像となることが多い.そこで,提案アルゴリズムでは2色覚における明度を修正することとした.明度のみを変更すれば赤色が青色になるようなことはなく,自然な色修正結果が期待できる.更に,色修正にあたり,正常色覚における色相が変更されないように制約を加えた.また,画面上に表示可能な色修正画像を得るためには,色域を考慮する必要がある.色域考慮のために必要となるアルゴリズムについても研究を行った. 上述したように,正常色覚および2色覚において,自然かつ視認性の良い画像を得るアルゴリズムを開発した.提案アルゴリズムによる色変換結果は,2色覚での見え方を模擬する方法によって評価した.実際に良好な色変換結果が得られることを確認した.
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