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2011 年度 実績報告書

高速多ニューロン画像法を用いた構成的アプローチによる記憶固定メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 09J10566
研究機関東京大学

研究代表者

宇佐美 篤  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードcalcium imaging / G-CaMP4 / neural circuit
研究概要

1.GFPを用いたタンパク質性の蛍光Ca^<2+>センサーである改良型G-CaMPを用いることで、自由運動下での線虫神経筋活動をCa^<2+>イメージングする実験系を確立することに成功した。そして、運動方向が切り換わる際の線虫神経筋活動のイメージングと行動解析を通して、無脊椎動物である線虫においてもドパミンが方向交替時の円滑化に関わることを見出した。行動のモードの交替に先行してドパミンニューロンが活性化することを見出したことから、線虫における意思決定様の調節にドパミンが関与していることが示唆された。今回の知見は、行動を制御する神経回路メカニズムの研究を進めるにあたって、進化上保存された構成要素を有しながらもシンプルな構造をもつ生物である線虫C.elegansの有用性を示すとともに、意思や自発性の進化的な根源ならびに行動の切替の円滑化に関わるメカニズムを探求する上でも、重要な知見になることが予想される。
2.海馬歯状回の独立した2部位に電気刺激を行い、海馬体CA1野での神経応答をカルシウムイメージングにより観察した。2部位の同時刺激によってのみ発火するニューロン(AND-like neuron)や、片方のみの刺激では発火するものの同時刺激では発火しないニューロン(XOR-like neuron)が存在することを見出した。数理シミュレーションを用いて、海馬体の神経情報処理の可塑的変化に関する海馬CA3野の再帰的回路の重要性を見出すことに成功した(Kimura et al.2011)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

神経活動を可視化する上での有用なツールである、GFPを用いたタンパク質性の蛍光Ca^<2+>センサーのG-CaMP4の開発に成功した。そして、当初の記憶の固定化に関するメカニズムについては探究が及ばなかったが、それ以上に、行動中の神経活動の記録によって意思や心の進化的な起源に迫る結果を得た点については、大きな業績を上げることができたと考えられる。

今後の研究の推進方策

現時点では行動切替時の神経活動に注目しているが、今後は高次機能である記憶についても、形成段階、固定段階、想起段階における神経調節機構を、イメージングや行動解析によって克明に解明していくことが可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Hippocampal polysynaptic computation2011

    • 著者名/発表者名
      Kimura, R., Kang, S., Takahashi, N., Usami, A., Matsuki, N., Fukai, T., Ikegaya, Y.
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 31 ページ: 13168-13179

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.1920-11.2011

    • 査読あり
  • [学会発表] 改良型G-CaMPを用いた線虫運動出力系の神経調節機構の解明2012

    • 著者名/発表者名
      宇佐美篤、安藤恵子、大倉正道、池谷裕二、中井淳一、松木則夫
    • 学会等名
      第132回日本薬学会年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-30
  • [学会発表] Functional analysis of neuromuscular circuit using high-resolution in vivo Ca^<2+> imaging in C.elegans2011

    • 著者名/発表者名
      安藤恵子、宇佐美篤、永村ゆう子、吉田有花、松木則夫、池谷裕二、中井淳一
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] 蛍光カルシウムセンサーG-CaMP4を用いたin vivoとin vitroイメージング2011

    • 著者名/発表者名
      宇佐美篤、安藤恵子、永村ゆう子、吉田有花、松木則夫、池谷裕二、中井淳一
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会Neuro2011
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] in vivo Ca^<2+> imagingを用いた線虫運動出力系の調節機構の解明2011

    • 著者名/発表者名
      宇佐美篤、安藤恵子、池谷裕二、中井淳一、松木則夫
    • 学会等名
      日本薬学会薬理部会次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム2011
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-08-31
  • [学会発表] High-resolution in vivo Ca^<2+> imaging of neuromuscular system in Caenorhabditis elegans2011

    • 著者名/発表者名
      K.Gengyo-Ando, A.Usami. Y.Nagamura, Y.Yoshida, N.Matsuki, Y.Ikegaya, J.Nakai
    • 学会等名
      18th International C.elegans Meeting
    • 発表場所
      UCLA、アメリカ
    • 年月日
      2011-06-24

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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