研究概要 |
私は申請した研究題目「タンパク質間相互作用阻害剤の革新的評価法の開発と大規模スクリーニングへの展開」に取り組んできた。DPP4阻害剤のスクリーニングに関して、私は4000サンプルを用いた大規模な阻害剤スクリーニングを行い、DPP4阻害剤としてepibestatinを得ることができた。本化合物は通常のaminopeptidaseに対しては阻害活性が弱いことが知られていることから非常に興味深く、新たなDPP4阻害剤骨格として有用である可能性が示唆された。また、時間分解蛍光測定法を利用したスクリーニング手法は、従来の蛍光法と比較して遥かに高感度であることも確認することができ、様々なプロテアーゼに対するスクリーニング手法として有用であることが強く示唆された。また、私はNPP2,6の活性を検出する蛍光プローブの開発も行った。本プローブを用いて80000化合物の阻害剤スクリーニングを行った結果、数十種ずつ阻害剤候補化合物を見出すことに成功した。その内の一つの化合物に着目し、NPP6阻害剤の構造の最適化を行った結果、元のヒット化合物よりも10倍阻害活性の強いNPP6阻害剤の創製に成功した。また、NPP2阻害剤は抗がん剤としても有用であると考えられているが、得られた化合物は非常に活性が強く極めて興味深いと考えられる。現在はリコンビナントのNPP2に限らず高次での機能制御をすることが可能か阻害剤としての機能評価を行っている。
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