研究課題
【実施内容】前年度に獲得したKusabira-Orange(huKO)遺伝子導入ブタの雄個体を育成し、性成熟後に精巣上体精子を凍結保存した。それらの精子の人工授精ならびに体外受精によって健常なtransgenic(Tg)産仔が得られることを確認した。後代(G1)産仔へhuKO遺伝子の伝達率は、ほぼメンデリズムに従っていた。G1産仔においても、全身性赤色蛍光発現が維持されていることを確認し、骨芽細胞、間葉系幹細胞、肝細胞、前駆脂肪細胞などを分離・樹立したところ、均一な蛍光発現が確認された。さらに、huKOを全身発現する個体を、骨再生や靱帯再建実験のモデルとして実験に供した。2010年度にはPdx1-Hes1遺伝子導入による膵臓欠損ブタの作製にも成功した(JST/ERATO)。この膵臓欠損という表現形を、huKOを発現するクローン胚を用いて補完する実験、すなわち胚盤胞補完を行い、得られたキメラ個体で膵臓が再生されたことを、赤色蛍光を指標として証明した。【意義・重要性】huKO発現ブタは体細胞クローニングによって作製された個体であったが、その個体の有性生殖で得られた子孫にも全身性赤色蛍光発現が安定的に継承されることが確認されたことは、このブタが世界で唯一赤色蛍光マーカーを持ったブタとして確立されたという意義を持つ。同時に、凍結精子を用いた体外受精系が確立されたことで、有性生殖による増殖が実用的レベルに到達したことにも大きな意義がある。huKOブタ特徴は、整形外科領域の再生医学研究において高く評価され、さらに種々の体性幹細胞・前駆細胞研究においても、その重要性が認識されつつある。胚盤胞補完という新しいコンセプトに基づく臓器再生研究でも、赤色蛍光ブタ胚細胞の利用が、再生臓器の追跡・証明において非常に重要な役割を果たした。
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