研究概要 |
本研究は、キイロショウジョウバエの体内時計ペースメーカーニューロンの振動機構について、培養技術と化学発光・蛍光イメージング技法を駆使して、まだ詳細が明らかとなっていないキイロショウジョウバエの時計細胞の機能解析を試み、その全容を明らかにすることを目的とする。本年度には、まず、蛍光Ca^<2+>センサーYellow cameleon2.1(YC2.1)がペースメーカーニューロンを含む体内時計細胞に特異的に発現する系統を作出した。この系統の中枢神経系の組織培養を用いて、72時間にわたり単一ニューロンレベルでの慢性的Ca^<2+>イメージングを行った。その結果、キイロショウジョウバエの蛹の体内時計ニューロン(LNs)においては、哺乳動物の体内時計ニューロンと同様の概日性細胞内Ca^<2+>濃度リズムは観察されないことが明らかとなった。しかし、興味深いことに、YC2.1の2波長蛍光強度が並行して約24時間周期で変動することが明らかとなった。一般的に、GFPファミリーは酸性pH条件では輝度が低下することが知られており、YC2.1もその例外ではないことが報告されている(Miyawaki et al.,1999PNAS)。よって、この結果は、LNsの細胞内pHが約24時間周期で変動しているという可能性を示している。この仮説を検証するために、本年度より、新たにpH感受性蛍光センサー(deGFP4)を発現するトランスジェニックバエの作出に取り組んでいる。
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