近年、無線センサーネットワーク(WSN)やモバイルアドホックネットワーク(MANET)はユビキタス社会のインフラとして重要な役割を担っている。本研究の目的はWSN・MANETが持っている一般的な無線・有線ネットワークにない独自の特徴に注目し、技術的な進歩およびWSNの商業化と広範囲の応用に貢献できる解決策を見いだすことである。WSN・MANETにおける主な課題は1、消費電力、計算能力、メモリ容量の厳しい制約、2、膨大化する可能性がある配置ノード、移動するノードの数3、時間によって変化するネットワーク・トポロジーの3つが挙げられる。本プロジェクトは上述の課題を包括的に研究した。私たちはモバイル・エージェント(MA)を用いて、WSNにおけるソースからコレクター、コレクターからソースへのトラフィックの異なる特性を利用し、ルーティング層とのインタラクションの有効利用に着目した。まず、WSNアプリケーションの応用場景をピックアップし、確実なデータ転送の特性と要件を調査した。それに基づいて、センサーノードのデータの収集においてMAの動的な旅程を設計し、データ収集の正確性を維持しながら、トータル時間の短縮に成功し、その結果消費電力の削減につながった。実場景の応用例として、本研究は農業においての霜予測をピックアップし、シミュレーションツールNetlogoにより、考案されたアルゴリズムは実用的であることがわかった。次に、バッテリ駆動型のセンサーなどのモバイル・デバイスの最も重要な課題の一つは消費電力である。本研究はハードウェアの部分の省エネ法を提案し、タグ・リダクション及びトレース・キャッシュ手法により、組み込みシステムのエネルギーの節約とパフォーマンスの向上につながった。最後に第三の課題として、ユビキタス・コンピューティング環境下におけるモバイルデータ処理のための状況認識管理スキームを開発した。上述の研究成果の一部を論文誌や国際会議へ投稿し、採択されている。
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