研究課題
本年度は、始原的隕石の変成の特徴について研究を行った。始原的隕石である、エンスタタイトコンドライトの変成作用について検証した。エンスタタイトコンドライトは、他のコンドライト種に比べ、多種の鉱物が存在し、その母天体での進化については不明な点が多く残されている。本研究では、数多くの種類のエンスタタイトコンドライトを系統的に分析することで、母天体の進化についての考察を行った。特に、トロイライト(FeS)の微量元素に着目した。その結果、隕石の変成度が進むとトロイライト粒子内においてTi、Crの移動が起こることを明らかにした。本研究により、硫化物とケイ酸塩鉱物は、平衡に達する度合いが異なっており、硫化物に残された熱史・硫化分圧の変化は、エンスタタイトコンドライト母天体の進化において重要な指標となることが明らかになった。これらの結果は、日本地球惑星科学連合大会及びLunar and Planetary Science Conferenceで発表した。エンスタタイトコンドライト隕石研究に並行し、スターダストの持ち帰った彗星塵の初期分析を行った。大部分のサンプルは、捕獲時の摩擦熱により溶融されているが、部分的に形成時の化学組成・組織を残していると考えられる。これまでのところ、Mgに富むカンラン石、輝石の存在が確認された。今後さらに、詳細な鉱物学的特徴を明らかにし、コンドライト隕石との関連性について考察を行う予定である。
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