「小空間」という研究キーワードから派生して、次の3テーマ、1こどもの嗜好する小空間としての住環境、2空間容積の単位としての小空間「包pao」の検証、3宇宙建築という限定された小空間、について研究を進めた。 まず、「1こどもの住環境」については、(1)低年齢のこどものいる世帯を対象にした実験研究、(2)乳幼児のいる世帯における居住実態調査を行い、各論文にまとめた。 (1)実験研究では、実際の親子を被験者として、キッチンにいる親と子のコミュニケーションの質や見守りがどのように変化するか、親子の距離や向きを変数として明らかにした。(2)乳幼児の居住実態調査では、乳幼児のいる家庭を訪問して、アンケートやヒアリング調査、住空間の撮影や実測を行った。これにより、住空間における乳幼児の居場所のあり方を明らかにした。 次に、「2空間容積の単位「包pao」の検証」については、既存空間の文献資料・実測調査を行った。 最後に、「3宇宙建築」については、文献資料調査の一部を本に寄稿した。また、国際宇宙ステーションISS室内の空間把握に関する実験を行い、近々、審査論文に投稿予定である。更に、JAXA公募では、「宇宙でのびやかに暮らそうプロジェクト--無重力下における心理・動作からみた宇宙建築の居室規模計画に関する基礎研究」が選定され、今後、宇宙での実施に向けて調整中である。 以上の通り、「小空間」に関する研究活動を多角的に行い、その成果を社会的に還元している。このように、最終的には、住環境の質の向上に資するための研究を実施している。
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