研究課題
平成10年度は、計画に基き、史料収集、整理、コンピュータ入力、プログラム作成、国際および国内研究集会の開催、海外の国際会議での報告、海外の研究者との共同研究を中心に進めた。また、各分科会も活発に研究活動を行った。前年度から引き続き、それぞれの研究成果をシリーズとして刊行し、開始以来計110点に達している。インターネット上に、和文・英文のホームページを開設し、研究の概要、組織を公開するとともに、日本の歴史人口学に関する文献目録を編集公開した。また、本年度は、家族史関係の文献リストも完成し、約5000点を収録した。重点的な研究対象地域として、良質の時系列データの利用が可能な、東北地方(旧二本松藩領)、美濃平坦部農村九州西部の沿海村について集中的にデータ入力を行ない、一部についてはデータ・ベース化を完成させた。それを用いて歴史人口学や家族史上の高度の各種統計分析が可能となった。とくに、このプロジェクトにおいて、いわば共通言語ともいうべき、多変量解析、イベント・ヒストリー分析、家族類型の抽出が可能になったことの意味は大きい。これらの重点地域ばかりではなく、近畿地方の中央都市、地方都市、本州中央部農村の史料整理、九州地方を主とする史料調査を実施し、史料所在の空白域を埋めることが出来た。国際研究活動については、1)5月、イタリー、ヴェニスにおいて開催されたEAP-ESF合同のワークショップにおいて、「父親の死による家族の危機」をテーマに、5ヵ国の比較研究。2)8月、スペイン、マドリードにおいて開催の国際経済史協会第12回大会において、「飢餓から経済発展へ」、「直系家族の比較史」のセッションを設け報告。3)11月、中国北京において、EAP研究集会を開催、「人口移動」をテーマとし、各国の研究者による報告、今後の研究打ち合わせを行った。4)他にイタリー、英国、米国の研究者と共同研究を進めた。
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