研究課題
創成的基礎研究費
本研究は、最終年度にあたり成果統合委員会を結成し、以下の項目を中心に、研究成果のまとめを行った。1. 長期・広域の生物多様性パターンと生態系変遷を解明するために、野外調査ステーション、研究ネットワーク、実験設備の整備と運営を行った。また国際生物多様性観測年を実施した。2. 基盤整備に立脚した生物多様性の時空関パターンの解析を行った。高度・緯度勾配に依存した生物多様性・生態系変動機構や、景観相互作用の生態系機能に関する新しい知見を得た。3. 生物多様性が生態系機能において果たす役割を、温帯林・熱帯林生態系および実験水域生態系において解析し、新しい知見を得た。4. 理論・実験・分子アプローチを用い、生態複合が生物多様性の創出と維持に果たす役割を新しい観点から解析した。5. 人間活動と生物多様性の関連を研究した。生物多様性の状態と、生態系の健全さを表現する新たな指標群を導き、生物多様性保全戦略の策定に資する、基礎的情報基盤の整備を行った。以上の成果に基づき、新たな学際的学問領域である生物多様性科学の基本コンセプトと課題を明確化し、特に、緊急な地球環境問題のひとつとしての生物多様性喪失が、生態系や人間社会に及ぼす影響評価の手法に関する研究ストラテジーの提案を行った。その中心的な概念は、「長期・広域的な観測・実験・理論に裏付けられた、生態系コンテキストの中での生物多様性保全の重要性」であり、これを、人間の社会経済システムのダイナミクスと結合的に解明する方法論の開拓が、今後の重要な研究課題として抽出された。以上の成果は報告書としてまとめ、内外の専門家の査読をうけたのち公表した。
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