研究課題/領域番号 |
10041007
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
青木 保 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80062636)
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研究分担者 |
佐伯 啓思 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (10131682)
梶原 景昭 北海道大学, 文学部, 教授 (10116014)
岡本 真佐子 政策研究大学院大学, 政策研究プロジェクトセンター, 助教授 (40252564)
多和田 裕司 長崎大学, 人間環境学研究科, 助教授 (00253625)
永渕 康之 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30208045)
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キーワード | 文化政策 / 国民文化 / 多文化主義 / 文化統合 / マレーシア / インドネシア / フィリピン / トルコ |
研究概要 |
昨年度に引き続き、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、中国、スリランカ、トルコ各国において、国家の文化政策に関わる基本方針とその歴史的変遷、政策の実施機関および組織について調査を行うと共に、文化政策が地方等において具体的に実施されるプロセスや実施・運営に際して生じている問題についても、実地調査・資料調査および関係者などへのインタビューを行い、現状を把握することに努めた。 文化政策実施の現状は、国家や政府などの政治的主体が文化政策にどのように関与、あるいは介入するのか、また政策路線の転換がどのような政治的・社会的変化の契機によって生じるのか、あるいは文化政策が国民文化を輪郭づけるイデオロギーとしてうまく作用しているのか、といった点において、各国ごとに大変事情が異なっていることが分かった。しかしいずれの国においても、文化政策は、植民地支配からの解放や独立後の国民国家建設期において国民文化創造のために動員されたというにとどまらず、その政策の継続や再興、あるいは批判ないし転覆といったかたちで今日に続いており、その重要性はむしろ増大している。国家間の比較研究により、文化政策は1.多文化主義、あるいはイスラームやキリスト教などひとつの宗教や文化を核とする単一文化中心主義など統合の原理をどこに求めるのか 2.社会変化とともに「民族」「伝統」「文化」のありようが変わってきている中でそれらを、またそれらの間の差異をどう規定するのか 3.民族間、生活スタイル間、植民地文化とローカル文化間、文明間などにおよぶ差異の分断線を、どのように調整できるのかという今日的問題に直接にかかわるものとして、アジア諸国においては依然として国家の中心的課題であるということが明らかになった。
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