研究課題/領域番号 |
10041011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
三尾 裕子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20195192)
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研究分担者 |
田村 克巳 国立民族学博物館, 教授 (40094156)
伊藤 亜人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50012464)
末成 道男 東洋大学, 社会学部, 教授 (20054570)
中西 裕二 福岡大学, 人文学部, 助教授 (50237327)
瀬川 昌久 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00187832)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 中華文明 / 周辺 / 文化の再生 / 民俗文化 / 民間信仰 / ネットワーク / エスニシティ / 伝統文化 |
研究概要 |
本研究では、中国文明圏に属してきた広義の東アジア沿海部における最近の社会変動に関し、文化人類学的な現地調査により、以下の諸点について分析を行った。1)近代化、経済のグローバリゼーションの中での地方民俗文化の再創造過程及びその特徴。2)再活性化した民俗文化と中華文明及び文化のグローバリゼーションとの相互関係。即ち、文化の中心-周縁関係の変容又は文化の個別化と画一化の間の相互作用の分析。 尚、各分担者は、それぞれ調査の成果を論文や口頭発表などによってそれぞれ明らかにしているが、このほか、平成12年12月には、本研究と密接に関わってきた海外の研究者を招聘し、ワークショップを行い、分担者全員によって研究成果のとりまとめを行った。その結果、解明された事柄の中で重要な点を、以下に3点とりあげる。 1.長期にわたって民族が錯綜して混在してきた地域では、ある一群の人々のもつ慣習は、様々な民族の慣習が入り乱れた様相を見せる。即ち、民族をある特定の慣習や伝統と言う枠組みから規定することには限界がある。 2.ベトナムや中国のように急激な経済の改革開放が進みつつある地域では、国家に対する周縁の関係に変容がみられる。地方は、従来のように中心を志向するのではなく、むしろ中心と一定の距離を保つことにより、地方としての文化の独自性を主張し、新たな文化の中心となることを志向している。 3.東アジアのように、かつて中華文明という求心的な文明が存在していた地域では、儒教のような宗教性も併せ持つ強固なイデオロギーによって抑圧あるいは疎外されてきた「民俗文化」が自己主張を始める際には、民間信仰がそれを代表する傾向がある。
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