この研究の目的は、「総合的学習の時間」のカリキュラムにおいてマルチメディアやインターネット等がどのように関わるかを、ドイツとの比較で検討することを目的とした。研究は二つのプログラムで実施された。一つは、プロジェクト学習の授業を観察しビデオ収録すると共に、授業担当者へのインタビュー及び討議を通して、授業やカリキュラムに関する情報を収集することであり、後一つは、インターネットを含む各種メディアへの態度を調査し、メディア行動の背後にある心理的要因を探ることである。 総合的学習とメディア利用に関しては、(1)状況(プロジェクトの内容と目標と生徒の実際の社会経験との関係)、(2)要求への動機(課題に対する共同的活動への動機付け)、(3)学際性(学際性を必要とする複雑なトピックで、ネットワーク思考を要求する)、(4)集合的現実性(複雑なトピックは問題解決のために課題の分配を必要とする;教科の知識だけでなく、社会的、情意的資質が向上すること)、(5)教授学習課程の自己組織化(生徒自身が目標、計画を立てプロジェクトを遂行する)、(6)多様な学習の場(学校だけでなく、社会的環境において)、(7)成果志向(プロジェクトの結果を示す)の視点が重要であることが明らかになった。 メディア調査では、読書・新聞・漫画・テレビ・映画・会話・コンピュータをとりあげ、コンピュータが社会的コミュニケーション及び情報行動に大きく影響し、心理的問題解決には会話が有効であること、創造性には読書が有効であることなどが判明した。また、情報行動は多くのメディアが関与することもわかり、総合的学習におけるメディア利用が潜在的に影響することが分かった。
|