研究課題/領域番号 |
10041026
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太田 好信 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (60203808)
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研究分担者 |
飯島 みどり 立教大学, 法学部, 助教授 (20252124)
弧崎 知己 専修大学, 経済学部, 助教授 (70234747)
池田 光穂 熊本大学, 文学部, 助教授 (40211718)
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キーワード | マヤ運動 / グアテマラ共和国 / エスニシティ / ナショナリズム / グローバル化 / 大衆左賛運動 / 多民族国家 / アイデンティティ |
研究概要 |
1821年の独立以降、グアテマラではどのようにして先住民を国家に組み込むかが大きな政治的課題であった。国家の基本的姿勢は同化政策により、先住民をラディーノ化することである。すなわち、先住民たちを民族であるとは認めず、前近代的な存在であるとみなし、これらの人々を近代化することが近代国家を成立することと同一であると語られてきた。しかし、近年先住民ではなく、21ある言語共同体すべてを結びつけるマヤという積極的なエスニシティをつくりだす運動が生まれている。この運動にはどのような世界史的背景があり、またこの運動はグアテマラの国家をどのように再定義することにより、マヤ民族の生活圏を拡大しているのか。 グローバル化の時代における、マヤ民族のエスニシティ隆盛とグアテマラの国家ナショナリズムとのは、どのように影響しあっているのであろうか。本年度の調査では、以上のような問題提起をふまえて、以下の点を明らかにした。(1)マヤ運動家による汎マヤ・エスニシティの形成は、世界規模での人権にたいする関心の高揚ならびにグアテマラ国内の軍事政権から文民政権への転換などにより、初めて可能になった。(2)大衆左翼運動とマヤ運動のようなエスニシティ形成運動は同一ではない。前者が階級を土台にした連帯を目指すのにたいして、後者はグアテマラ国家を多民族国家として再定義する。したがって、階級よりも言語や文化による連帯を重要視する。マヤ運動家たちはいまでもグアテマラには植民地状況が継続して存在しているという。したがって、マヤ運動家たちの仕事は脱植民地運動であるという。このような認識から見えてくるグアテマラの未来像はどのようなものなのであろうか。それは大衆左翼運動とは違うというものの、この両者は協力可能な運動なのであろうか。以上の疑問は、来年度以降の調査における研究課題として残っている。
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