研究課題/領域番号 |
10041026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太田 好信 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助教授 (60203808)
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研究分担者 |
飯島 みどり 立教大学, 法学部, 助教授 (20252124)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
池田 光穂 熊本大学, 文学部, 助教授 (40211718)
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キーワード | グアテマラ / エスニシティ / 汎マヤ運動 / 和平協定 / 人権 / 非政府組織 / 観光 / マヤ言語 |
研究概要 |
平成11年夏以降、代表者ならびに分担者が担当した各調査地において、総選挙への関心が高まっていた。年末にはグアテマラの新大統領、国会議員、ならびに市長村長などが決定した。これまでグルーバル化を支援し、民営化を進めていた政党(PAN)は、国家権力を強化しようとする右翼政党(FRG)にとって代わられる。以上のような政治変化を直接感じることができた本年度の調査では、政局の変化が意味するものは何かという疑問が国民の関心を呼んでいた。たとえば、太田や狐崎が調査した集落などで活動していたマヤ民族を支援する非政府団体は、政局の変化がそれらの活動に終止符を打つ結果になるのではないかという危惧があった。また、飯島が調査した和平協定によりつくられた集落では、民主化へのこれまでの努力が無に帰するのではないかという不安があった。しかし、池田の報告では、マヤ系民族も80年代の殺戮を想起し、同時におきた政治参加の可能性の歴史を引用し、当時の(将軍であり)大統領が党首を務める政党を指示していたという。これまで、グアテマラは和平協定合意に見られるように、外部からの圧力により民主化するというシナリオを踏襲していたかのようである。しかし、グローバル化が生み出す貧富の格差の拡大、また治安の低下などにより、国民は強力な政府を要望している。これが今回の選挙の結果である。平成12年度の調査では、グアテマラ新政府はグローバル化に対抗するためどのような政治・経済・文化政策を行うのか、そしてそれが新たな殺戮や人権侵害のを生み出さないかどうか、調査の範囲を拡大し「国家主導主義がマヤ先住民運動と具体的にはどのような妥協をするのか」という課題を考察する必要がある。
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