研究課題/領域番号 |
10041041
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
山本 勇次 大阪国際大学, 政経学部, 教授 (50114806)
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研究分担者 |
藤巻 正己 立命館大学, 文学部, 教授 (60131603)
江口 信清 立命館大学, 文学部, 教授 (90185108)
村瀬 智 大谷女子短期大学, 国際文化学科, 教授
北森 絵里 天理大学, 国際文化学部, 講師 (40278875)
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キーワード | スラム / 貧困 / 適応 / ネパール / インド / ドミニカ国 / マレーシア / ブラジル |
研究概要 |
本研究の目的は、発展途上国の貧困層からなるスラム地区住民の貧困への適応の仕方、すなわち貧困を生き抜くための文化的装置の存在を文化人類学的調査により明らかにし、それを通文化的に比較分析することである。 今年度は、まず、ネパール、インド、ドミニカ国、マレーシアおよびブラジルの5カ国の貧困層が生活するスラム地区において昨年度に実施した実態調査を通して得られた知見を中間報告的にまとめ、日本民族学会(平成11年5月)の分科会で中間発表を行いレビューを受けた。続く平成11年8〜9月に実施した同5カ国のスラム地区における現地調査においては、それぞれの当該社会の「経済的社会的弱者」であるスラム地区住民がしたたかに現状を生き抜くやり方を、現場から得られる生(なま)の「声」から収集することに重点を置いた。調査地によって若干の差異はあるが、共通している「貧困への適応」の仕方として、スラム地区住民は、主要な中産階級層からスティグマを宣告されながらも、決してそれを甘受するだけではなく、特有のしたたかな戦略をもって対抗していることである。それは、スラム地区住民という集団のレベル、コミュニティのレベル、あるいは個人のレベルといった様々なレベルでの実践である。本研究では、このような貧困への適応の仕方を、机上の理論ではなく現地調査から得られるデータに基づいて比較・検討することを重視した。その成果は、本研究の研究成果報告書(冊子体)にまとめられている。 本研究のようなスラム地区住民を対象とした研究には、数年間にわたる中長期的な現地調査が不可欠である。本共同研究のメンバーは今後もこの調査・研究を継続するつもりである。
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