研究課題/領域番号 |
10041045
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研究機関 | 東京国立博物館 |
研究代表者 |
西岡 康宏 東京国立博物館, 学芸部, 学芸部長 (40000351)
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研究分担者 |
望月 幹夫 東京国立博物館, 学芸部・考古課, 有史室長 (60141991)
小泉 惠英 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 主任研究官 (40205315)
臺信 祐爾 東京国立博物館, 資料部, 研究指導室長 (80163715)
谷 豊信 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 北東アジア室長 (70171824)
後藤 健 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 西アジア・エジプト室長 (40132758)
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キーワード | パキスタン / ガンダーラ / ハザーラ / ザールデリー / 仏教寺院 / ストゥーパ / カローシュティー |
研究概要 |
パキスタン北西辺境州の仏教寺院遺跡ザールデリーにおいて発掘調査を実施した。今年度は、伽藍南側のストゥーパ区、北側の僧院区の両区、合計6ヵ所で発掘を行なった。 ストゥーパ区では、ストゥーパ東階段、ストゥーパ北側プラットフォームなどで発掘を行ない、ストゥーパの形状、奉献塔の有無などを確認した。ストゥーパ東階段の調査によりストゥーパに付設する階段の幅が8.8mであることを確かめた。ストゥーパ北側において寺院造営時の地表面レベル近くから、水槽のような形状をもつ遺構をはじめ、3つの石組遺構が検出された。しかし、主ストゥーパ周辺に奉献塔と確認できる遺構は発見されなかった。 僧院区では、1998年の調査を継続し、遺構の概要把握を目指した。その結果、この僧院は四方を僧房列に囲まれた中庭に、5つの房室が列ねて築造される珍しい形式をとることがわかった。この房室には排水設備が備わることから、沐浴などに使用されたものと考えられる。 また、北側僧房列の1室から、130点を超える大量の浮彫彫刻、建築装飾部材が出土した。彫刻は、神像や供養者像などを表わした大型光背の一部とみられる浮彫群像、1/4円形区画内にバラモンや供養者などを表わしたアーチあるいは破風の装飾、アーチ型建造物の内壁を飾っていたと思われる如来群像、如来三尊、擬柱、肘木、欄楯と供養者、花文装飾を施した建築部材など多岐にわたる。これらの石彫は、房室内の当時の地表面のほぼ直上に整然と積み重ねられており、寺院の営まれていた時期あるいは廃寺となってからさほど時を隔てずに、部屋の中に収められたと推測される。また、いくつかの石彫にはカローシュティー文字による銘文が刻まれており、碑文学的資料が新たに得られた。
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