研究課題/領域番号 |
10041051
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
秋道 智彌 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (60113429)
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研究分担者 |
山尾 政博 広島大学, 生物生産学部, 教授 (70201829)
後藤 明 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40205589)
野中 健一 三重大学, 人文学部, 助教授 (20241284)
田和 正孝 関西学院大学, 文学部, 教授 (30217210)
口蔵 幸雄 岐阜大学, 教養部, 教授 (10153298)
須田 一弘 北海学園大学, 人文学部, 助教授 (00222068)
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キーワード | 資源管理 / エスノ・ネットワーク / 活魚貿易 / 特殊海産物 / 村落基盤型管理 / 破壊的漁業 / マングローブ保全 / 国際交易 |
研究概要 |
東南アジアのマレーシア、タイ、ベトナムにおいて現地調査を実施した。主要な調査対象として沿岸漁民とその資源利用をとりあげた。沿岸水産資源の利用状況は地域によってたいへん流動的かつ多様化している。生業目的の小規模な活動には、ベトナム北部Quang Ninh省の干潟におけるゴカイ、貝類、タイ南部Trang,Phang ngaにおけるカニ、貝類の採集がそれぞれみられた。その他方、国内市場を対象とする小・中規模の水産資源利用と流通が地方都市を核として発達している。とくにベトナムの魚醤(ニョク・マム)、マレーシアの塩干魚、タイの干しエビ、魚醤(ナム・プラー)など、加工食品が多い。さらに、中国や欧米、日本向けのさまざまな輸出産品の捕獲と生産が急激に成長しつつある。そのなかでもっとも重要なものは、ナマコ、フカヒレ、海燕の巣、海藻などの乾燥食品である。それとともに、ベトナム、タイ、マレーシアを通じて中国向けのハタ活魚の蓄養、増養殖が80年代後半から90年代以降盛んにおこなわれるようになった。生産に従事する漁民が水産物を販売するさいの流通網は、水産資源の種類や加工方法、自家消費・地方市場・グローバル市場別に特化し、複雑な取引関係が成立してきている。 現在、環境保全型の水産資源利用が叫ばれており、マングローブの植林やサンゴ礁の保護などの運動が展開している。そして、ダイナマイトや青酸カリなどによる破壊的な漁法の禁止が叫ばれているが、グローバル経済の浸透が現金収入源の増加につながるために保全型の漁業は容易に浸透しない。環境保全型の漁業を進めるために、村落基盤型の資源管理の重要性がさけばれており、タイ南部の沿岸漁民による沖合での底曳漁業やプッシュネット漁業者の締め出し、人工魚礁の設置、べトナム北部における粗放的なエビ養殖など、いくつかの取り組みが今後注目される。
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