研究課題/領域番号 |
10041065
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
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研究分担者 |
川崎 賢一 駒沢大学, 文学部, 教授 (20142193)
加藤 哲郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (30115547)
伊丹 敬之 一橋大学, 商学部, 教授 (90017492)
落合 一泰 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50212337)
新原 道信 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (10228132)
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キーワード | 情報化 / 情報技術 / ヴォランタリー・アソシエーション / マルチ・カルチュラリズム / 起業家の精神 / ノマド / エスニシティ / デジタル・ディバイド |
研究概要 |
今年の調査で明らかになったことの第一は、情報技術をうまく取り入れ、経済の国際競争力をつけ、それによって獲得した富を、できるだけ公共財を整備する方向に使ってゆく北欧型の情報福祉社会の構造である。その推進のためには、最もリベラルなネットワーク国家と階級対立を解消するためのヴォランタリー・アソシエーションの果たす役割が大きいことが明らかになった。今年の研究の第二の成果は、情報化とエスにシティの関係においても、ディジタル・ディバイドが出現する可能性が高いということを突き止めたことである。すなわち、シリコンバレーにおける調査では、極めて多様なエスニックの起業家が活発な経済活動をおこなっている実態が明らかになり、情報社会はマルチカルチュラル、マルチエスニックな社会であることが証明されつつあるが、ヨーロッパの移民社会の調査では、各移民集団、とりわけ下層民がマルチメディアやインターネットを、母国の情報と自己のアイデンティティの強化のために使用しており、結果として移民先の社会の断片化を促進してしまう可能性が明らかになった。したがって、経済的に成功する集団、下層移民集団共に、それらが当該の国民社会とどのうような関係を作るかが問題になろう。また今年の研究で明らかになった第三の成果は、情報主義の精神、文化がいかなるものであるか、その概略が把握できたことである。それは、シリコンバレー、フィンランド、それにシンガポールでの調査を総合することによって明らかになるだろう。これらの地点では、起業家の精神、文化を検討することによって、あるいは若者のアーバンノマドの文化を把握することによって、さらには国家の情報文化政策を問題にすることによって、情報主義の精神が明確化されつつある。
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