研究課題/領域番号 |
10041068
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
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研究分担者 |
長南 史男 北海道大学, 農学研究科, 教授 (00113697)
本台 進 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70138569)
加古 敏之 神戸大学, 農学部, 教授 (00121533)
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 講師 (70258664)
鬼木 俊次 農林水産省, 農林水産政策研究所, 研究員 (60289345)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 市場経済化 / CEECs / 環境保全 / 農業構造再編 / 条件不利地域 |
研究概要 |
東殴諸国の経済体制変換の中で、市場メカニズム導入が農業部門の発展過程に与えたインパクトを、市場流通、土地制度、経営構造、環境問題の各視点から分析し、以下の点を明らかにした。 各国とも、体制移行の初期には、土地生産性を始め、経済全体が決定的な打撃を受け、深刻な低迷状況に陥ったが、その後、徐々に回復基調に転じた。ハンガリーやポーランドでは比較的早く回復に転じ、若干遅れてチェコがこれに続いた。しかし、ブルガリアやルーマニアでは未だに体制転換に伴う混沌から脱しきれずにいる。 最も大きな問題は、土地制度の変革である。市場経済化が比較的早く進んだハンガリーや社会主義体制下でも部分的に農場の個人所有が認められていたポーランドでは、国有農地の農民への返還は比較的順調に進んだ。しかし、チェコやブルガリアなど、社会主義体制下において殆どの農地が国有であった諸国では、大規模な国有地を私有化する際に、かなりの困難を伴った。つまり、以前には大規模な国有農地で機械を駆使して経営されていたが、私有化された個人農地が小規模なため、以前の農業機械が使用できないこと、さらに個々の農民が営農技術について充分な知識を有していないことが主な問題である。そのため、多くの東欧諸国では、協同農場経営による営農規模の拡大と農業機械等の共同利用を推進している。 市場経済体制への移行により、営農方式が生産性追求型にシフトするにつれて、環境劣化問題が徐々に進行すると危倶されているが、現在のところ、この点に関しては必ずしも深刻ではない。またチェコを始めとして、農業環境対策に真剣に取り組めるほど経済的な余裕はなく、まずは移行後の低迷状況から脱することが先決課題である。数年後にEU加盟を控えて、EU共通の農業環境政策に組み込まれた状況で有効な政策運営ができるよう、厳しい対応が迫られている。
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