研究課題/領域番号 |
10041070
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 二郎 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究所, 教授 (30027495)
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研究分担者 |
メガン ビーゼリー 開発基金, 所長
大野 仁美 華澤大学, 外国語学部, 助教授 (70245273)
中川 裕 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70227750)
大崎 雅一 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 講師 (40254453)
菅原 和孝 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80133685)
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キーワード | サン / グイ / ガナ / カラハリ / ボツワナ / ナミアビ / 移住 / 人類学 |
研究概要 |
1. グイ、ガナ、カラハリへの聞き取り調査に基づいて、移住計画に対する合意形式と意思決定の過程を分析した。その結果、民族集団ごとの利害関係に従って政府の移住勧告への対応が異なっており、住民全体の合意がないままに移住の実施へと雪崩現象を起こしたことが判明した。 2. 旧居住地カデより新居住地ニュー・カデへの移動と定着の過程を明らかにし、新たな居住地での住居地図を作成した。移住後1年の間に、何回かの小規模な住居の移動が観察され、民族集団間の住み分けの構造を継時的に明らかにした。 3. 民族間関係および土地利用の変遷に関する基礎データ(集落地図、植生図、衛星写真)を入力・解析するためのソフトおよびハードウェアの整備を行った。 4. 新居住地への適応過程の追跡:現金経済が一層浸透し、かつ、新居住地の動植物相は貧弱であるため、狩猟採集活動はさらに低調となり、現金収入および配給食糧により強く依存するようになった。また、学校教育の影響については、子どもの交友関係が従来の血縁および居住地の枠を越えて同年代の子ども一般へと広がっていることが明らかとなった。 5. ボツワナ、ナミビアにまたがり、サンの養育行動の比較調査を行った結果、授乳や歩行訓練に関し共通する特徴が明らかとなったが、歩行訓練の意味づけについては、各集団ごとに異なっていることが判明した。 6. セントラルカラハリに広範囲に広がるグイ語の分布の南限を探し、Kheseekoeというグイ集落をクエネング県に発見した。その集落でのツワナ語カラハリ方言話者化の程度を、面談調査によって世代別に推定した。Kheseekoeの正確な位置を測定し、その集落における方言の分類上の位置を、歯茎閉鎖音の口蓋化と前声門化鼻音クリックの存在という2つの音韻指標から探り、結論として、グイ語には、3つの方言群を認めることができるという知見を得た。これは従来の方言分類を発展させるものである。 7. グイ=コンの語紮比較を進め、両言語の接触の歴史に関する理解を深めた。両言語が古くから接触をしていたと推測できる両言語の下位グループがそれぞれ何か、またどの地域で古くからの接触をしていたかに関する仮説ができつつある。 8. カラハリとグイ/ガナの文化接触と文化変容の動態を、儀礼、民俗医療などの比較調査から明らかにしつつある。 9. ボツワナ国立文書館において文献資料を収集し、植民地以前におけるサンとバントウーとの接触の歴史を分析しつつある。
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