研究課題
国際学術研究
モナシュ大学上級講師のブルース・ワーンは1998年7月に日本を訪問した。そして、日本の都市との比較でメルボルンに関する論文を執筆する資料を収集するとともに、日本の都市を視察した。京都大学と岡山大学を訪問し、日本側研究者と研究の打ち合わせもおこなった。京都大学では、メルボルンについての講演をおこなった。野邊は1998年7月よりモナシュ大学日本研究センターの客員研究員としてメルボルンに滞在し、1999年にメルボルンで面接調査をおこなう準備をおこなった。つまり、次の5つの作業をおこなった。第1に、オーストラリア人の家庭にホームステイをし、人間関係とくに近隣関係の参与観察をおこなった。第2に、参与観察の結果にもとづいて英文の調査票を作成し、その英文を複数のネイティブ・スピーカーに検討してもらい、野邊が意図している質問となっているかを確認した。第3に、1996年の国勢調査のデータを利用して調査地を選定した。第4に、選挙管理委員会に行き、調査対象者を選挙人名簿から無作為に抽出し、調査対象者のリストを作成した。第5に、調査会社の調査員として働いている調査員と直接交渉をおこない、1999年8月と9月に調査員として面接調査をおこなってもらえるように依頼した。調査の準備をおこなった以外に、野邊は1998年12月に「日本の高齢者の社会参加」という題でモナシュ大学日本研究センターの定期セミナーで講演をおこなった。そして、参加者と多くの有益な質疑応答をおこなった。蘭信三はメルボルンを訪問し、1999年におこなう調査の関係者と打ち合わせをおこなった。また、研究資料の収集をおこなった。1996年の国勢調査のデータから分かったことは、メルボルンは少数民族ごとに地域分化が近年進んでいるということだ。例えば、スプリングベールという地域はベトナム人街となってしまい、低所得階層であるベトナム人の集中が更に進展している。こうした地域を調査地に選ぶと、調査員は調査対象者と英語で会話ができないので、面接調査ができない。そこで、中産階層の多く居住する地域を面接調査の調査地区とすることにした。