韓国では、1998年の金現大統領の就任に伴い、女性の地位向上だけを専管事項としていた第2女性省を政府全体の行政改革の関係で廃止し、大統領直属の女性問題特別委員会を設置した。同時に6省(行政内務、保健福祉、労働、教育、法務、農林)に女性政策担当官を課長とする女性政策課を設立した。今回は1998年のフィリピンの調査に引き続き、大統領女性特別委員会及び6省の女性政策課がどのような成果をあげているか、そしてそれが日本にどの程度応用可能であるかの調査である。 女性政策課はほとんどの場合、局より高い位置にある企画管理室に置かれ、省内の政策や事業にジェンダーの視点が欠けていないか監視できるようなシステムになっている。行政内務省と保健福祉省では、省内組織もしくは学識経験者も含めた組織を設置し、ジェンダートレーニングも開発実施するなど、効果的に行われていた。両省の女性政策担当官は2人とも女性問題を専門としていた。法務省の担当官は検事であるが、ジェンダーの主流化に就いても理解していない状況であった。いずれもジェンダーの主流化を目的に設置されたはずであるが、事業内容などは担当官が計画しなければならない。これらから女性政策担当官に誰が任命されているかにより、成果には大きな差がでているように思えた。 女性問題特別委員会では委員長は大臣レベルで閣議にも出席できるすが、決議権がないとか副大臣がいないので実質的な審議をする副大臣会議に出席できないという理由で、女性団体から女性省を設置するよう強い要求がでて、大統領は今年の所信表明演説で女性省を設置すると言う約束をしたという。財政難なのでいつ実現するかわからないということであったが、今後の動きに注目したい。
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